日本自然科学写真協会(SSP)創立40周年記念 

SSP大賞 2019

一般公募 自然写真コンテスト

結果発表

厳正なる審査の結果、SSP大賞1名、銀賞1名、銅賞3名、賛助会社賞7名が決定いたしました。
おめでとうございます。


SSP大賞2019一般公募自然写真コンテスト 総評

海野和男(審査員長)

 SSP40周年を記念して行われた自然写真コンテストは、応募点数は決して多くないが、力作がたくさん寄せられたのは嬉しい限りである。一瞬を捉えるのが写真の醍醐味であるが、その捉え方は作者により異なるのである。最近の映像技術を駆使したデジタルならではの写真も多かったが、大賞に選ばれたのはカワセミの影がコンクリートの護岸にまるで襖絵のように映っている写真だった。撮り尽くされた被写体でも、ちょっと見方を変えるだけで、まったく予想していなかったような作品を撮影できるという見本のような写真でもある。

 銀賞の「鉄床雲が暴れた夜」は、富士山登山の途中で出会った鉄床雲の様子をタイムリーに捉えた作品だ。銅賞の3作品は完成度が非常に高い。「月虹」はデジタル技術を駆使し、まるで北斎の絵画のように月の虹を捉えている。「ヨスジフエダイの群れ」は、魚の群れがあたかも大きな魚のように捉えられている素晴らしい生態写真だ。「アオスジハナバチを狩るマルモンツチスガリ」はハナバチを狩るツチスガリを実にシャープに捉えている。このような写真を評価できるのは、写真コンテストではSSPしかないと思う。


SSP大賞2019の開催にあたって

伊知地 国夫

 SSPは200320052007年と過去3回一般公募の自然写真コンテストを開催しましたが、今回創立40周年を記念して、12年ぶりにSSP大賞2019を開催いたしました。このコンテストを開催する目的の一つは、自然科学写真を対象に活動する団体として、多くの写真愛好家の皆様に自然科学現象の撮影に興味を向けていただきたいということがあります。またSSP会員にとっては、会員外の方の撮られた新しい視点や対象の写真を見ることで、撮影の幅を広げ

る良い刺激を受けることができるのも目的です。コンテスト応募を契機に会員になってくださる方もいらっしゃいます。新しい発想で協会を盛り上げてくれる人が入ってくれることは協会にとってうれしいことです。

  今回の入賞作品は、新しい視点と技術で、自然現象の不思議さと驚きを教えてくれる素晴らしい作品がそろいました。ご応募いただきました皆様に心より御礼申し上げます。


審査員長:海野和男

審査員:伊知地国夫 湊 和雄 川口邦雄 高嶋清明

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

SSP大賞

「カワセミの影」

後藤 仁

カワセミが川の護岸から伸びている木に止まったところ、

その影が新しいコンクリート護岸の壁に映りこんだ。 

ちょうど水墨画の襖絵のように見えたので影を主体に撮影した。


:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

銀賞

「鉄床雲が暴れた夜」

長谷 直紀

富士山を登山している中、遠くの空で鉄床雲が成長していく過程を標高3,250mから見た。

気象の変化が激しいここ数年だが、このような特別な場所で自然の変化を体験できたことはラッキーだったと思う。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

銅賞

「月虹」

筒井 健作

満月の明るい光で虹がかかる月虹を富士宮白糸の滝で撮影。

月虹が見える条件として滝壺に光が当たる角度があるため、

満月の晴れた夜に特定の場所と時間帯でしか見られない貴重な現象を撮影出来た。

 

 

................

 

 

「ヨスジフエダイの群れ」

三浦 美江

鹿児島県の離島、沖永良部島で撮影。

この写真を撮影した場所は風向きや潮の流れによっては行けないこともあるが、

このときは海況がよく、ヨスジフエダイという魚が群れとなっていた。


 

 

................

 

 

「アオスジハナバチを狩るマルモンツチスガリ」

清水 悠太

ある日、オミナエシを観察していると、

マルモンツチスガリがアオスジハナバチを狩っている様子に遭遇した。

写真は麻酔をかけたアオスジハナバチを巣に持ち帰ろうとする生態学的な瞬間を撮影したもの。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

入選

「Light pillar」

塚田 玲央


空気中の水蒸気が急激に冷やされ氷晶となり、

そこに漁船の強い光が当たることによって発生する「漁火光柱」。

激しく冷え込んだ夜に、いくつもの条件が揃わないと見ることの出来ない、

不思議で幻想的な光景。

 

................

 

「腐肉食い」

戸部 海童

雨の降る夜の林道で、腐食が進んだトラツグミを食べようとしているハブを見つけた。

静かに接近し、ハブを極力驚かせないように撮影を行った。

ハブが、ウジの湧いているような状態の死体まで食べることに驚かされた。

 

................

 

「卵のマント」

谷口 常雄

作品の中心にいるのはヤドカリ。周りを覆いつくしているのはウミウシの卵。

ヤドカリが寝ている間に外殻に産み付けたのだろう。

屋久島の海でこのような貴重なシーンを撮影できて感動した。

 

................

 

「命がけの吸血」

舞坂 康一

産卵期のモリアオガエルを観察しに日光植物園に行った。

1匹のカエルがいたのでカメラを向けてみると、鼻先に蚊がとまって吸血している。

どちらもじっと動かずにいるので、蚊からピントをはずさないように、数十枚撮ってみた。

 

................

 

「月夜の森」

浅野 良

ツキヨタケを撮影。本来新月の方が光が綺麗だが、

森の表情を出したくて満月での撮影をおこなった。

倒木に生えるツキヨタケを自作のローアングル用の三脚を使い撮影した。

 

................

 

「絢爛ヒメボタル」

内村 裕介

カラーの花に群がるヒメボタル。

この地域は2週間程度の期間、わずかな時間に一斉に光り出す。

 

................

 

「マダラヤンマの交尾」

小林 健吾

マダラヤンマの美しい眼が見られるので、毎年秋が待ち遠しくなっている。

チョウと違って交尾時間がとても短く、カメラを固定しても風などで揺れるので、

深度合成で捉えることができたのはとても幸運でだった。

 

................

 

「貝殻を抱く」

谷口 たけ子

インドネシアのタコは敵から身を守る為に海底に沈んでいる貝殻を持ち歩く。

そして危険を感じると砂に潜り持っていた貝殻で蓋をしてしまうのだ。

道具を使うタコに感心しながら撮影を楽しんだ。

 

................

 

「祭の影」

福山 亮部

12月、山原の森ではリュウキュウアカガエルの産卵が始まる。

産卵を控え、カエル達が渓流へと集まってくる中、一匹がオオハシリグモの餌食となった。

天敵から逃れ生き残った者だけが次世代へと命を繋いでいく。

 

................

 

「蛍光を放つミンミンゼミの雌」

森久 拓也

セミの中でもミンミンゼミは色鮮やかなライムグリーンが印象的な美しい種。

紫外線下ではその部分が強く蛍光し、また透明な翅も淡く発光する。


:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

賛助会員賞

ヴァイテックイメージング賞

「子を守るために」

伊藤 隆

野鳥観察のため田園区域の道路を歩いていると、突然ケリが近くに現れ、

キキッーと声を発しながら羽を大きく広げ、私を挑発してきた。

身を挺して我が子を守ろうとするケリの擬態の姿に心打たれた。


 

................

 

ケンコー・トキナー賞

「ウスタビガ♀とオリオン座」

佐藤 友樹

発生時期の終盤、飛び古して翅が破けたウスタビガを見つけた。

星座が写る向きにカメラをセットし、被写体をストロボで浮き上がらせ、

長時間露光中にピントリングを回して背景の星空にもピントが合うよう工夫した。

 

................

 

オリンパス賞

「遊泳」

石黒 卓也

田植えが終わった田んぼで

気持ちよさそうにのんびり泳いでいるカエルを撮りました。

 

................

 

シグマ賞

「トビ・三羽空中戦」

山尾ヒロユキ

トビが魚を捕らえた。すぐに別の2羽がその魚を横取りしようと追いかけ始めた。

執拗な追跡についに魚を離してしまい、横取りしようとした1羽は脚を伸ばして、

もう1羽は背面キャッチで空中の魚を掴もうとしている。

 

................

 

ニコン賞

「ユキフリソデウオ」

海谷 尚司

フリソデウオ科の1種で、沖合の中層を遊泳するが、潮の流れや風向きなどによって、まれに見ることができる。

成魚は1mくらいになる。写真のユキフリソデウオは幼魚で、

体長は2cmほど。ヒレを入れると15cmくらいだった。

 

................

 

パナソニック賞

「さあ急いで!」

斎藤 敏範

カマキリ君が、画面左上の白い花の蜜を吸っていた蝶を捕食しようと狙っていたのですが、

突然背中に乗られてしまって、なんとオシッコされた。緊張の瞬間だ。

 

................

 

富士フイルム賞

「星と雲の彩演」

森山 隆司

快晴予報だったが、夜半を過ぎる頃には雲が広がり、満天の星空は望めそうもなかった。

それでも諦めずに撮影を続けると、遠くの街灯を反射した雲がまるで流れるオーロラのように映ってくれた。

さらに、薄雲のソフトフィルター効果で冬の大三角の星々の印象が強まった。自然の織り成す素敵な舞台を眺めているようだった。


主     催 /一般社団法人 日本自然科学写真協会 (SSP)

特別協賛/ 富士フイルム株式会社 

協         賛 /オリンパス株式会社 株式会社ケンコー・トキナー 株式会社シグマ 

       株式会社ニコンイメージングジャパン パナソニック株式会社 ヴァイテックイメージング株式会社 ほか


 日本自然科学写真協会  SSP大賞2019 事務局

〒102-0073 東京都千代田区五番町 5-6 ビラカーサ五番町208 

お問い合わせはこちらから